2011-03-15 Tue
3月11日に起きた東日本大震災は、スポーツ界各方面に多大な影響を及ぼしています。プロ野球はオープン戦が軒並み中止、その他スポーツも延期や会場変更など緊急の対応を余儀なくされています。スポーツ選手たちの心身に対する影響も非常に大きく、プロ野球・日本ハムのダルビッシュ選手も「ボールを投げてバットを振り回している場合じゃないだろう」と開幕の延期を示唆する発言をしています。時は遡り、1995年1月17日、阪神淡路大震災が起きた時、今の状況と同じく、スポーツ界は混乱の最中でした。交通機能と移動のためのバイパスがズタズタになっている中で、スポーツ興行を行うための環境はまったくといっていいほど整備されていませんでした。
そんな状況で、震災の二日後に、しかも被災した大阪のど真ん中で行われたスポーツ興行があります。それは1・19全日本プロレス・大阪府立体育会館大会です。もちろん当時は大会を自粛すべきという声もあったそうです。しかし「プロレスを見て元気になってもらおう」という故・ジャイアント馬場社長の考えによってこの大会は敢行されました。メインイベントは、川田利明vs小橋健太(現・小橋建太)の三冠ヘビー級選手権。結果は、両者の命を削るような激闘の末、三冠選手権としてははじめての60分フルタイムドローでした。川田がパワーボムで小橋を持ち上げた瞬間に試合終了・引き分けのゴングが鳴った会場は歓声で包まれ、「全日本」コールは鳴り止むことなく、体育会館を離れる観客は、みな落涙をこらえることはできなかったといいます。
被災した人たちに勇気を与えたスポーツはそれだけではありません。震災の年に最下位になってしまった阪神ですが、95年初の巨人戦で藪投手(現阪神2軍投手コーチ)が魂の完封勝利を挙げています。オリックスは言うに及ばず、「がんばろう神戸」で復興の象徴になりました。
もちろん、厳しい環境とスケジュールの中でプレーを強いられる選手たちの心情は忖度に難くありません。それは重々承知しています。しかし、日本が困難の濁浪に飲み込まれてしまった今こそ、ボールを全力で投げてバットを振り回すその時なのではないでしょうか!
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